暑中お見舞い申し上げます。
新聞報道によると都市銀行の不良債権処理が一段落したそうです。つまり、企業倒産件数は減るだろう、ということです。裁判所での統計もはっきりとそれを裏付けています。
倒産専門弁護士たちは、春先にマスコミが大騒ぎしたフジテレビ騒動のような企業買収案件などへ、専門性を広げているとの噂です。
私への御相談も、倒産案件よりは、株式上場案件などを含めてのコンプライアンスのご相談が目立ちます。来年は、改正会社法施行なので、ますます勉強することが増えます。
平成17年初夏 湯川
昨年の夏に、強制執行制度が法改正されたことをお伝えしました。その後も、基本的な法律が次々に改正されています。一般の企業経営に重要な改正について思い出すままに列挙してみましょう。
破産法 (1月施行)
破産法の全面改正が今年1月から施行され、倒産法分野の法改正は特別清算についてを残すのみとなりました。迅速化という点では、貸し倒れの処分に役立つようです。
根保証 (4月施行)
民法の口語化改正のついでに、貸金等根保証契約の期間は5年以内とされました。既に無期限の貸金等根保証をしている場合には3年で元本が。確定する事になります。
新破産法や、平成12年施行の民事再生法と並んで、中小企業の社長さんたちにはおおいに役立つ立法と言われています。ただし、施行後3年目には必ず金融機関から根保証契約の書き換えを迫られますのであまり実益は無いかもしれません。
個人情報保護法 (4月施行)
当事務所でもコンプライアンスのための者に整備を、パッケージにしてサービス提供しようかと考えましたが、法律事務所以外のサービス業者と競争するためには人員の増加が必要であり、弁護士としての責任感を満足しようとすれば価格競争力がなさそうなので当事務所での事業化は断念しました。
不正競争防止法
商品の形態模倣について強化。とくに、形態の模倣は真生品の販売から三年以内が違反とされているところ、その起算点を「日本での販売開始」と明記されました。
独占禁止法 (4月国会成立)
課徴金の引き上げと同時に、談合を自首した企業に対しては課徴金を減免する制度(リーエニンシー)を取り入れました。
会社法 (国会審議中)
平成13年以来、毎年のように重要改正を繰り返してきた会社法が、ついに全面改正し今国会で成立見込みです。
有限会社も株式会社の一種類になります。役員関係では「会計参与」とか「会計監査人」とかが、会社法上の役員として登場し、代表取締役、取締役、監査役という従来の役職との組み合わせが自由になった結果、20通りの役員組織が可能となりました。
起業促進のため特例とされていた、資本金1円の会社も、永久存続可能となりました。資本欠損の会社が減資をする場合には、債権者に通知することもなく簡単に減資することもできます。平成2年の最低資本金引き上げ騒ぎは一体何のためだったのでしょう。
オンライン申請
不動産登記法改正施行(3月)につづき、ついに、東京簡易裁判所が支払督促手続きについても年内にオンライン化を目指しています。(湯川)
法改正ラッシュ