1995年夏号(通算第4号)
暑中お見舞い申し上げます
今年も5月の連休に環太平洋法曹協会(IPBA)研究会に出席させていただきました。今回は、サンフランシスコでした。昨年はシンガポールという観光地で行われたことを理由に参加したのですが、今回は非課税障壁などに付いて短いスピーチを頼まれてしまったので仕方なしでした。
今年は、東京弁護士会の国際関係委員会副委員長を務めています。そこでの大きな問題が国際仲裁制度の改革です。そこで、夏休みは仲裁の勉強でもしようかと思っています。東京弁護士会での身近な仲裁員も仲裁にも興味があって仲裁人になってみようかとも考えているのですが、それよりも国際仲裁の立法論が課題です。日本での国際仲裁は全く活発ではない状況ですが、アジア諸国では国際仲裁を自国内で利用しやすいように整備しています。アジア諸国には英語文化を持つ国がおおいので国際かという面では日本より有利であることは否めません。しかし、日本での国際仲裁制度が機能しないままでは法律の世界では国際社会の一員とは呼べないのではないでしょうか。関東弁護士会連合会では民事訴訟法改正問題連絡委員を務めさせていただきましたが、そこでの積み残しの問題でした。
近々ハワイでの国際仲裁のために出張する予定ですが、日本側依頼者には仲裁条項はむろんのこと契約をよく読まずにサインしたという事件がよくあります。
国際契約を締結する場合に「紛争になった場合には日本における国際仲裁によって解決する。」という契約条項が相手にとっても受け入れやすいように日本の国際仲裁が利用しやすいものになることを望みます。 (湯川)
PL弁護団
既にお知らせの通り製造物責任法がついに施行されました。先輩弁護士にお声を掛けて頂いたので東京都損害保険代理業共同組合のPL弁護団に加えて頂きました。保険代理業をなさっている方はすでに協同組合の配布物でご存じかも知れません。
私はこの製造物責任法の施行によって訴訟社会になるかという問題に関しては講演会をしたときにも、「言われているほどの影響はないのではないか。」との意見を述べてきました。損保業界はPL保険を販売していますので「製造業界は大変な訴訟社会になる」という意見です。損保は自動車損害賠償保険で多数の顧問弁護士を依頼しているので同じような状況を想定しているのでしょうか。
PL弁護団でも、弁護団を結成してはみたものの果たしてどの程度の需要があるのかわからないと言う意見が多いようです。消費者側の弁護士がどの程度活発に提訴するようになるかが鍵なのですが、PL弁護団に所属していても原告消費者側の代理をしても構わないということなので、原告側でも被告側でも取りあえず新法での訴訟を早くやってみたいというのが職人としての好奇心です。
皆さんはPL訴訟に巻き込まれないよう十分にご注意下さい。 (湯川)