1995年冬号(通算第5号)
師走には本号をお届けする予定でいます。間に合いましたでしょうか。
当事務所は、設立3年目の年越しです。盗難・災害保険の完備、高価な判例検索・文献情報データベース、その上、セコムまで導入してしまいました。大切な書類は、近くの銀行の貸倉庫です。優秀・真面目なスタッフも揃いました。
法律研究会には頻繁に出席し、共同執筆の「リース・クレジットの法律相談」(青林書院)は10月に発行され、「銀行手続双書、特殊整理」(きんざい)の共同執筆中です。
ただし、お引き受けした事件は迅速に解決しておりますのでご安心下さい。当事務所のモットーは、平成8年も、秘密厳守・精確・迅速ですので、よろしくお願いします。 平成7年暮れ 湯川
「弁護士が変わる」
私の名刺の裏に、BENGOSHIと肩書きしてあるのにお気づきでしたか。日本通の外国人は、BENGOSHIが日本のライセンスであることを知っていますので国際語になりつつあります。名前の後ろのEsq.はアメリカあたりでは弁護士であることを示す略号として用いられているので、世界の弁護士に理解できるように、念のためEsqと付けています。私は、BENGOSHIと表示することに誇りを持っています。専門分化して法律書面作成作業や法廷演技を請け負っている外国弁護士とは達とはちがうと考えているからです。つまり、得意分野はあってもそれに限定されず広範な警官から綜合判断に基づいて弁護活動を行うバランス感覚を重視してきたのが日本の弁護士です。
東証一部上場企業の法務担当者が日本の弁護士を人気投票した結果が発表されました(日経ビジネス9月25日号)。2票獲得17位までの先輩弁護士のお名前を拝見すると、多くはなるほどと思わせる実力者です。同誌の企画意図は、ランキング入りした先生の専門分野を限定することによって弁護士界の専門化を促すところにあるようですが、私が納得できるお名前はむしろ表示された分野に限らず活躍されている先生方です。たしかに、依頼者は「専門性を持った実践型」を必要としているにもかかわらず、弁護士は広告規制されていますので大企業にとっても適任者を探すのにご苦労でしょう。この意味でこの記事は広告解禁以上のインパクトでしょう。
弁護士が人数規制・広告規制によって保護されてきたのは、本当のことです。私が司法試験に合格した当時は年間400人台の合格者数であったのが、近年700人に増員され、現在議論されている増員論も1000人とか1500人という微増にすぎません。とはいえ、おかしな弁護士は昔からいたようですし、その上、「オウムが弁護士を変えた」(アエラ11月27日号)という記事では「正義派の復権」だそうですが、同業の私でも、「色々な弁護士がいるなあ。たまげたモンだ。」と思っているのですから、皆さんの驚きはいかばかりかでしょう。
いくら試験を難しくしても、おかしな弁護士を排除することはできなかったのですから、いっそのこと弁護士を大増員してみたらどうでしょう。多様なバックグラウンドを持った弁護士がそれぞれの専門性を広告することになるでしょうし、正義派を標榜する弁護士もでるでしょう。おかしな弁護士どころか依頼者のいうことは違法でも不当でも何でもやってくれる弁護士も増えるでしょう。
さて、私は前述のランキング入りした先輩方の世代と弁護士大増員世代の中間にいます。私は、国際取引及び外資系会社顧問を専門とする法律事務所で育ち、独立してからは破産管財人業務を含む倒産法関係まで活動を広げてきました。今後は、良い新人がいればバランスある弁護士に育てられるように事務所の受け入れ体制を整備し、また、国際取引、経済法、倒産法のどれかで前述の弁護士ランキングに入りたいと思います。 (湯川)